これまで教育現場で活用されてきた黒板に加え、近年ではデジタル技術を活用した「電子黒板」の導入が進んでいます。黒板の良さを活かしつつ、電子黒板の特長を取り入れることで、新たな学びの可能性が広がっています。特に、文部科学省が推進する 「GIGAスクール構想」や「DXハイスクール」 において、電子黒板は重要な役割を担っています。教育のデジタル化が進む中で、電子黒板がどのように学びの可能性を広げているのか、また補助金対象機器としてどのようなものがあるのかを解説していきます。
GIGAスクール構想と電子黒板の役割
GIGAスクール構想とは、生徒一人ひとりに学習用端末(タブレット・PC)を配布し、高速通信ネットワークを整備する教育施策として、2019年度に文部科学省が打ち出しました。この構想は、2020年度の新型コロナウイルス感染拡大を契機に前倒しで進められ、全国の小中学校において環境整備が完了しました。その結果、オンライン授業やデジタル教材の活用が一気に広がり、個別最適化された学びが実現されています。
現在、多くの学校でこれらの環境が活用され、授業の質の向上が図られています。その中で、電子黒板は「教室の中心となるICT機器」として重要な役割を果たしています。例えば、電子黒板を活用することで、以下のような授業の改革が実現されています。
1.授業資料の共有がスムーズに
電子黒板を活用することで、教員が授業で使用する資料やプレゼンテーションを瞬時に生徒のタブレット端末へ配信することが可能になります。これにより、生徒は手元で資料を確認しながら授業に参加でき、重要なポイントに注目しやすくなります。また、電子黒板上で強調表示や書き込みを行うことで、視覚的にわかりやすい説明ができるため、理解度の向上にもつながります。
2.生徒の意見をリアルタイムで可視化
電子黒板には、生徒が入力した解答や意見を即座に表示できる機能が備わっています。例えば、教員が出した問題に対して、生徒が各自のタブレット端末で解答すると、それが電子黒板に集約され、クラス全体で共有できます。こうすることで、他の生徒の考えを見ながら、自分の意見を深めたり、新たな視点を得たりすることができ、より活発な議論が促進されます。 発言が苦手な生徒も、文字や図で意見を表現しやすくなるため、主体的に授業へ参加しやすい環境が整います。
3.遠隔授業やハイブリッド授業にも対応
電子黒板を活用することで、オンライン授業や対面授業を組み合わせたハイブリッド授業にも柔軟に対応できます。リモート環境にいる生徒も、電子黒板の画面をリアルタイムで共有することで、対面の生徒と同じ内容を見ながら学習できます。また、遠隔地の生徒とも双方向でコミュニケーションを取りながら授業を進めることができるため、場所にとらわれない学びの機会を提供できます。さらに、録画機能を活用することで、授業を後から見直すことも可能になり、生徒の理解を深めるサポートにもなります。
DXハイスクールの補助金対象機器
文部科学省は、2023年度から「DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)」を本格的に開始しました。この事業は、高等学校におけるデジタル技術の活用を加速させ、カリキュラムの充実や探究的な学びの推進を目的としています。特に、個別最適な学びや協働的な学習を実現するための環境整備が重要視されており、その実現手段の一つとしてICT機器の活用が想定されています。
ここでは、DXハイスクールの補助金対象となる具体的な機器を紹介し、それらと電子黒板の関連性について詳しく解説します。
1. 教室のICT環境を支える機器(電子黒板・ディスプレイ)
✅ 電子黒板・大型ディスプレイ
- 授業でのプレゼンテーションや、生徒の発表・意見共有に活用
- タブレット端末と連携し、双方向型の授業を実現
- AIを活用した学習支援ツールとの接続が可能
✅ プロジェクター(インタラクティブ機能付き)
- 既存の黒板やホワイトボードと組み合わせて活用
- タッチ操作や手書き入力機能を備えたモデルが対象
✅ ワイヤレスプレゼンテーションシステム
- 生徒が自分の端末から直接電子黒板に資料を投影できる機能を提供
2. 生徒1人1台端末と学習支援機器
✅ 学習用タブレット・PC(Windows, iPad, Chromebook など)
- 教材のデジタル化や、データ分析、プログラミング学習に活用
- クラウド学習プラットフォームと連携できるもの
✅ タブレット・PC用キーボード・スタイラスペン
- レポート作成や手書きノート機能を強化
✅ オンライン授業・遠隔学習用の周辺機器
- Webカメラ・マイク・スピーカー
- ヘッドセット(個別学習・グループディスカッション用)
3. 校内ネットワーク・インフラ設備
✅ Wi-Fi 6対応の無線LANアクセスポイント
- 安定した通信環境の確保
✅ クラウドストレージ・教育プラットフォーム
- Microsoft Teams、Google Classroom などを活用した協働学習
✅ セキュリティ対策機器(UTM、ウィルス対策ソフト)
- 安全なICT環境の構築
4. 先端技術を活用した探究学習・STEAM教育機器
✅ 3Dプリンター・3DCADソフト
- 生徒が設計した3Dモデルを出力し、試作・研究に利用
✅ VR(仮想現実)・AR(拡張現実)機器
- 理科・社会・歴史などの授業で、体験型学習を実施
- 3Dシミュレーションを活用し、科学・医療・建築分野の学習を強化
✅ ドローン・プログラミング制御システム
- プログラミング教育として、自動飛行の制御学習に活用
- 環境調査・測量・防災学習などの探究活動にも応用
✅ モーショングラフィック・映像編集ソフト
- プロジェクションマッピングや映像制作を通じた表現力の向上
- 生徒のプレゼンテーションやデジタルコンテンツ制作に活用
次世代の学びを支える電子黒板の役割
DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)では、ICT機器の整備を通じて、教育の高度化や探究的な学びを推進することが求められています。前述の補助金対象機器の中でも、電子黒板は教室の中心的な役割を担い、データの可視化・共有、探究学習の促進、双方向授業の実現といった点で大きな効果を発揮します。
特に、情報・数学・理科といったデータ活用が求められる授業や、STEAM教育・探究学習の場面では、電子黒板を活用することで視覚的な理解を深め、生徒同士の協働を促進できます。ここでは、電子黒板が次世代の学びを支える具体的な活用方法について解説します。
✅ データの可視化で理解を深める
データサイエンスやAI活用の授業では、生徒が分析したデータを電子黒板に投影し、グラフや統計情報をリアルタイムで可視化します。クラス全体で傾向を議論しながら、異なる解析手法を比較でき、より深い理解につながります。
✅ 探究学習やSTEAM教育をスムーズに
フィールドワークの成果や実験結果を、写真や動画とともに電子黒板に表示。グループごとの意見を整理しながら議論を進められるため、より効果的な協働学習が可能になります。
✅ 双方向授業で生徒の主体性を引き出す
生徒の端末と電子黒板を連携し、意見共有やプレゼンテーションをスムーズに実施。発表やディスカッションの活性化につながり、主体的な学びを促進します。
当社の電子黒板は、DXハイスクールの補助金対象機器として導入可能です
「学校のICT環境を整備したい」「DXハイスクールに適した電子黒板を導入したい」とお考えの教育関係者の皆様、ぜひお気軽にお問い合わせください。